五月楼

一年中五月病。

雑記

魔法としての正義

自分の正義をしきりに力説する者すべてに、信頼を置くな! ―――フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ 正義とは何か。誰も彼もが、その時々の都合に応じて、身勝手な正義の解釈を掲げ、己の利権を声高に主張する。従って、少なくとも普遍的な善悪の基準とは…

体感としての不確定性

不確定性から考える科学とオカルト 気温には、温度計で測定する「実際の気温」と肌で感じる「体感としての気温」があって、前者は客観的だが、後者は主観的で観測者の状態によって変わってくる。 たとえば南極の寒冷な環境に適応したイヌイットの人たちは日…

マジックワードについて

世の中にはマジックワードというものがあって、条件を整えて効果的に扱えば、人の行動を支配する上で凄まじい威力を発揮する。 ブラック企業で上司が部下に無理難題を吹っかけて押し通すような場面において、しばしば「成長」や「お客様のために」といったマ…

闇に呑まれるということ

怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ 汝が長く深淵を覗き込む時、深淵もまた等しく汝を覗き込んでいる フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ「善悪の彼岸」より。 中二度の高さから(勿論、それだけではないけれど)、あらゆる創作物…

教養主義の虚しさ

「教養主義」も一筋縄ではいかない言葉だ。 西洋と日本で捉え方が異なる上、リベラル・アーツ主義、人文主義、科学主義、主知主義……etcなど、やたら細分化していて、真面目に理解しようとするなら、それなりの覚悟が必要になる。 こだわっても埒が明かないの…

「人はパンのみに生きるにあらず」と言うけれど

「人はパンのみに生きるにあらず」は過度な物質至上主義を戒める時によく使われる言葉だ。 パンを物理的な富と解釈すると、「人間は物理的な富だけでは生きていけないのです、精神的な富の大切さを意識しましょう」、といった意味になる。 実のところこれは…

宗教が入り込みやすい場所

高校野球をやっていた頃の話。 ある時、監督が「ムチ運動」なる概念を提唱しだした。 曰く、「いいスローイングができている選手の腕はムチのようにしなやかに波打っている。つまり、腕をムチのように波打たせればいいスローイングができる! みんな腕をムチ…

争いを呼ぶバベルシステム

サイエンスでいうなら、生物の目的とは子孫を残すことなのだから、その目的に反する同性婚は積極的に否定されなければならない。 気心のしれた身内にこぼす程度ならいざ知らず、不特定多数に向けてこんなことを豪語しようものなら、大変なことになる。 実際…

co-qualia world

クオリアの交換を成し得るなら、差別問題や紛争問題といった、人と人との間で起きる問題のほとんどが解決するような気がする。 もし、以下のような施設があったら社会の様相は激変するはず。 図書館に似たシステムだが、収集してあるのは、書物ではなくクオ…

怪物の意志

ぼくをみて ぼくをみて ぼくのなかのかいぶつが こんなにおおきくなったよ この怪物はきっと、とんでもなく良心的なのか、それとも抜けているのか、どちらかなのだろう。普通、怪物は宿主にその存在を気づかせたりしないから。 人は誰でも生きていく上で優越…

うちらの世界を批判することの虚しさ

もうとっくに旬を過ぎた話題だけれど、うちらの世界について思ったこと、考えたことを。 うちらの世界とは、要するに「閉鎖的な集団内で共有される価値観、世界観」のこと。言い換えるなら「井の中の蛙」にとっての井戸そのもので、否定的なニュアンスをもっ…

やっぱり科学と疑似科学の違いがわからない

あるニワトリ小屋で、飼育員が毎日、エサを決まった時間に同じ量だけを与えていた。 飼育員は、非常に几帳面な性格だったらしく、何年間も正確に同じことをしていた。 さて、小屋の中のニワトリたちは、なぜ、毎日 同じ時間に 同じ量のエサが放り込まれるの…

狼と鳩をわかつもの

もっとも「権利」なんていう発想自体 人間特有のものだろうがね 寄生獣から引用。 考えてみれば人間だけが声高に権利を主張する。「権利」という言葉さえ持ち出せば、主張が通ると錯覚している面もある。 飢えたライオンの目の前で「私には生きる権利がある…

枠について

自分にとって物凄く重要な概念があります。普段、その概念を思考のベースに置くことが多いし、おそらくは精神的な安定を負っている部分も少なくないと思います。 今回はその概念、「枠」について書きます。 「枠」について説明する際、僕はまずこの質問をす…

価値観だって生きている

※風の谷のナウシカ(原作)のネタバレを含みます。 生物は環境の変化に合わせて、自己の性質を変えながら生き延びていく。 環境の変化についていけなかった生物は結果として滅び去る。 大事なのは、環境に適応しているかどうか。環境に合った性質を獲得でき…

アインシュタイン

尊敬は一種の思考停止だと思っている。誰かを尊敬することは、つまり、その誰かの言動や行動を無批判に肯定することにつながり、少し危うい。 そんな自分でも、アインシュタインのことは尊敬している。 言わずと知れた天才物理学者、史上最高の頭脳の持ち主…